危痴害病棟日記V



2003/05/24
退院しました。
無事に。円満に。
結局二週間とちょっとしかいなかった。
でも、意味のある入院だったと思う。
私はまだ不安を抱えながらも「生きたいんだ」と言えるようになった。
私は自分の無いものねだりの性格を把握して直そうと思うようになった。
私は自分が今いかに幸せか感じられるようになった。
私は今あるものに感謝することを覚えた。
私は一人じゃないってわかった。

私は二度と閉じ込められたくない。
今度こそ本当に「サヨナラ、危痴害病棟」。
わたしはもう戻らないよ。前を向いて歩くよ。笑って自分自身と手を繋ぐよ。



2003/05/23
今日も自宅にて。
一日中寝てた。こんなに寝れたのは久しぶり。
でも寝すぎてだるいかも。しかもあんなに食べられなかったのに、パンを三つも一気に食べてしまった。過食モード?!いかんいかん。なんでも「過ぎる」のは良くない。
明日、病院に戻って退院について話し合う。
よく考えてみたんだけど、何も我を通して何が何でも明日退院してやろうとするのは止めよう。先生がもう一週間居なさい、と言うなら従おう。一週間だけどね。私はもう少し、人の言うことを聞くべきだ。嫌なことばかり続く病棟だけど、私の精神が落ち着く訓練になると言うなら、もうあと少しいなくてはならないのかも知れない。私の情緒不安定は治らないのだから。あたしはすぐに人を裏切る癖がある。我慢を覚えるんだ。自己中はいい加減にしなくてはいけない。私は変わるんだから。強く優しく。私は生きるんだから。

・・・でも、先生が出てっていいと言うなら喜んで出て行くけどね。



2003/05/22
フフ。何故か今日は自宅から。

私は不眠症。眠りも浅いので夜勤のナースさんが見回りに来ても起きてしまう。
一度、隣のベッドの子が消灯後にあたしのベッドを覗き込んでたり、棚の中を覗いたりしてるのを目撃してしまってから、嫌なので隣の子が寝付くまで起きてることにしている。だから、9時消灯だが、結局は12時頃まで起きている。しかも、その子は朝が早い。四時五時くらいから起き出して、部屋を出たり入ったりガタガタ始めるので、あたしは起きてしまう。せっかく病院にいて眠剤もらっても万年不眠症は変わらず。
そんな状態で食欲もなく、ろくに食事もしてない。しかし今日は病棟内の話し合いの日。患者もスタッフもみんな集まって話し合いをする。
当然、最近の嫌な事件の話や盗難についてのことばかり。私は具合が悪いと思われると退院が延びるので、嫌だったけど我慢して参加してた。でも、答えの出ない堂々巡りの話し合いで、犯人探しみたいなことになってきて、すごい嫌な気分になってきて、倒れてしまった。結局途中退席。もう本当に嫌だ。こんなとこにいたら鬱に引き戻される。看護婦さんに無理を言って、今日もまた先生に面接を申し込んだ。先生は午後からいなくなるので、昼すぎに短時間なら、ということで会えた。昼ご飯は一口も食べられなかった。先生は忙しいし疲れてるし、という顔をしていたが、私は「もう退院する。ここにいると自分に悪影響です。退院しますから。」と強く言った。先生はうんざりな顔したけど、「わかった。でも、僕は今日忙しいし退院の手続きも出来ないから、外泊に行きなさい。土曜日に戻ってきて話し合おう」と言った。やった。粘り勝ち!
急いで部屋に戻って、友達に挨拶して一時半には病院を出た。ものすごい久しぶりに一人で外を歩いた。足が悪いので時間はかかったけど、無事に家に帰れた。あああ。開放感。



2003/05/21
もう嫌だ。
また事件発生。
煙草友達で個室の子の部屋のドアに夜中のうちに嫌がらせのメモがはさまれた。「お前は嫌われている。喫煙所仲間に入るな。一緒にめしも食うな。」という内容。何コレ?!信じられない。妬み?どういう悪意なの?受け取った本人は気にしない、と言うけど、どんなに嫌な気持ちだろうか。本当はすごくつらい思いを隠して平気なふりをしているんじゃないだろうか。
あたしは動揺しまくりで、みんなの前で全身が震えて何も言葉が出なくなってしまった。あたしが被害者じゃないのに、ナースさんのところに連れられて行って、情緒不安定炸裂させてしまった。朝も早いのに先生まで出てきた騒ぎになった。あたしは泣いてわめいて、「もう嫌だ、せっかく前向きに生きようとしてるのに、ここにいるとますます悪くなる、退院する」と涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら訴えた。先生は「困ったねえ、僕も逃げ出したいよ」と疲れた様子。「でも治療の途中で逃げ出したりしちゃいけない」と言って退院は許してくれなかった。
そのあと、もう何もかも嫌になって、ベッドにもぐりこんだ。誰とも会いたくないし、何もしたくない。ナースさんが様子を見にくるけど、泣いて家に帰りたいと訴えた。朝食も昼食も食べにいかなかった。
でも、私は決心したはず。落ちても今度こそ負けないって。薬に頼らず自力で這い上がるんだ。音楽聞きながら少し眠ったら、3時頃目が覚めて、なぜか鬱から抜けられてた。奇跡。
心配かけしまった友達にも、ごめんね、もう大丈夫と言えた。まったくなんて一日だ。次は何が起こるんだろう。あたしにもメモが来るだろうか。
強くなりたい。



2003/05/20
大事件発生。みんなが集まる大ホールに置いてあるやかんに夜中に洗剤を入れた奴がいる。なんてことするの。みんな死ねばいいと思ったのか。信じられない。朝からスタッフも患者も集まって緊急ミーティング。警察も保健所も来た。冷蔵庫も、中身全部捨てて、スタッフさんが同じ物買い直してくれた。
あたしは先生に会って、もうこんなとこいたくない、退院する、と言ったら、先生が「困ったねえ、僕も退院したいよ」だって。おいおい、あんた院長でしょうが。

今日は退院したこが外来に来てて、今入院してることあわせて、総勢9人でガストで昼食会になった。ドリンクバーで腹いっぱい。
その帰りに一人で、病院の近くに住む、前の入院仲間のTくんとAくんのアパートに寄った。なんだか、めちゃ久しぶり。二人で自転車の修理してた。30分くらい話し込んで来た。前に約束した海外旅行、必ず行こうね、と再度約束。

なんだかいろんなことのあった日だったなあ。
先生との面接では、また退院延ばされる発言されるし。外泊から戻ったら退院考えましょうって言ったじゃん!もう今週中に出たいのに。
うーん。でも、私、焦りすぎ?あんなことしたから、もっと閉じ込められて反省すべき?



2003/05/19
病棟に戻ってきた。朝から鬱に入ってしまって、だるいし起き上がれなかった。しかし逃げちゃいけない。鬱に入っても自力で這い上がるのだ。強くなろうと決めたんだ。
母が病院まで送ってくれる道すがら、口数少ない私に、くよくよしない!なるようにしかならないでしょ!と、ハッパをかける。そう。そうよね。元気な私になるんだから。
と、思いつつ病棟に戻るとがっくりくる出来ごとが待っていた。やはりというか、なんでというか、盗難にあっていた。大事な物は外泊前にナースさんに預けてあったが、棚に置いといたトローチが減っている…。みんなに聞くと、あたしの隣りのベッドの子が「飴ちょうだい」とみんなにたずねまわってたそうだ。
ああ、もう…。人を疑うなんて嫌だ。



2003/05/18
今日も自宅から。

昨日、朝九時に母に迎えに来てもらって、主治医と三者面談。
私があんまりしつこく退院したいと言うから、母を交えてこれからどうするか話し合った。私は今元気を取り戻してて、過去のいろんなことは横に置いといて、これからは前を向いて、ちゃんと生きていこうと思ってる、つらくても死にたくなっても前向きになろうと思ってる、というところを精一杯アピールして退院してもやっていけることを強調した。
先生は苦笑いしてた。私のこと、信じてないのよね。二度も先生を裏切ってしまったから、まあ当然なんだけど。
状態がいい方向に向いてるのはわかったから、一度家に戻ってみて来週また考えましょう、と言われた。ううう。がっかり。
でもまあとにかく、家に帰れる!
家に戻る車の中でも、母にいかに私が今元気で前向きに考えが変わりつつあるかを話したら、母はびっくりして、こんなに変わろうとしてる私のことを喜ぶやら気味悪がるやら。一時的な躁状態なんじゃないかと疑っている。まあ実は私もそう思う。病院を出たいあまりに元気になった気になって、私は何でも出来ると思いこんで躁状態になってるんじゃないかな。でもいいの。今度堕ちても大丈夫なの。もう無いものねだりはやめるの。「私には何も無い、何もかも失った、もうどん底だ」と思い込むのはやめるの。私には優しい家族がいる。泣いてくれる友達がいる。心配してくれる仲間がいる。気にしてくれる人がいる。こんな幸せなことない。私はとても幸せ者なのだ。
それでも鬱の暗雲は襲ってくるのはわかってる。ビョーキなのはわかってる。ぶりかえすのはわかってる。過去は忘れられるわけがない。傷は消えるわけがない。
だが、私は生きるのだ。何もかも背負ったまま生きるのだ。今あるものの有難さに感謝して。つらい思いもそのまま受け入れて。私は求めるよりも与えることの出来る人間になりたい。強く優しくなりたい。うつむく頭をあげて空を見上げよう。例え、虹は見えなくても。



2003/05/17
家だ。
嬉しい。
眠れる。
落ち着く。
もう寝る。



2003/05/16
隣りのベッドの落ち着かない子が、外泊に出てて、ようやく静かな日だった。すごく落ち着けた。ほ。明日から外泊に出るから、今日さえ我慢すれば、と思って頑張った。雨がやんで午後にはお散歩に行った。一時間くらい歩いた。右足の麻痺したところが痛くなったけど、歩くのも遅いけど、なんとか普通に歩けた。それでかなり自信がついた。先生も1、2か月で治ると言うし。
なんだかいつになく前向きな私。家に帰れる嬉しさもあるし、歩く自信もついた。私はもう大丈夫。きっと生きていける。今はまだみじめで情けない状況だけど、これからは前を向いて歩いて行くんだ。きっと出来ると信じよう。

同じ部屋のよく喋るおばさんが、明日退院だ。うらやましい。寂しくなる。私一人で、隣りのベッドのおかしな子に対応してくのか…。つらいなあ。



2003/05/15
異常に疲れる。隣りのベッドの子がとにかく落ち着かない。5分とじっとしてない。一日中部屋を出たり入ったりする。何回も着替える。早朝4時からウロウロする。私は不眠症なので寝付けないタチだし眠りが浅い。だから全然寝た気がしない。昼間も、もちろん眠れない。まったく疲れる。参った。なんだかみんなの話によると盗癖があるという噂もある。確認したわけではないから、本当は言っちゃいけないことだが不安になる。私の棚を勝手に開けてたこともあるし。あああ、参る。
そんなこともあり、早く退院したいこともあり、先生に言って一端家に帰してくれと頼んだ。まだ入院して一週間だけど、状態も落ち着いてるし、病棟にいると眠れないと訴えた。だめもとで。
そしたら、ちょっと渋々ながらもOKを出してくれた。やった!言ってみるものだ!しかも、母が迎えに来てくれたら話がしたい、と言ってきた。もしや退院のこと?!最短退院になるかも。と、ちょっと期待。
とにかく家に帰れることになって嬉しい。




2003/05/14
今日から外出OKになった。誰か一緒じゃないと駄目なんだけど。朝、コンビニに行ってシュークリームとイチゴムースケーキを買った。太る。絶対太る。明日からもう甘い物買うのはよしましょう。
これからの自分のこと考えてた。過去をふっきらなくちゃいけない。気を紛らわそうと思って音楽を聞いた。いろいろどっと思い出してしまって涙が出た。もっと泣くがいい。感情を出して、自分の心を取り戻すんだ。私は生きていかなくちゃいけないんだから。



2003/05/13
今日はまた前の入院で一緒だったMちゃんが外来のついでに寄ってくれた。こんなに来てくれる人がいて、私は幸せものだ。とてもありがたい。気にかけてくれる人がいるていうのに、ばかなまねをして本当に私はあほだ。自分がどれだけ幸せなのかわかってない。やはり外来で来ていたIちゃんにも怒られた。ホントに駄目な私。
でも強くなろうと決めたんだ。どんなにつらくても、死にたくなっても、生きようと決めたんだ。もう自分の人生から逃げるのはやめるんだ。



2003/05/12
今日は前の入院で一緒だったYちゃんが外来のついでに寄ってくれた。超久しぶりで嬉しかった。同じ年代なのでまたいろいろと話し込んだ。

とにかく家に帰りたくて仕方無い。なんのために閉じ込められてるんだろう。死なないようにだろうか。自殺未遂した罰みたい。絶対とは言いきれないけど、今はもう死にたいとは思ってない。もうばかなことして、周りの人に迷惑かけたりしたくない。だから閉じ込めなくても平気なのに。でも、今までの行動から言っても信じてもらえない。当然だけど。ああ、でもこんなとこにいたくない。うちに帰りたい。



2003/05/11
信じられないことが起きた。部屋の外に出てて戻ってみると、同室の子が私の棚を勝手に開けて見ているではないか!
ビックリして何も言えずにいると、ピンがなくなったと言う。「でも大丈夫。疑ってないよ。」だって。はあ?!何言ってんの!
もうこの部屋いやあ。やってけるか不安だわ。
今日は母が来てくれて、足りなかったものを持ってきた。ついでに私の好きなチョコレートをたくさん買ってきてくれた。同室の子にとられるんじゃないかと思って心配なので鍵のかかる引き出しに全部詰め込んだ。
まったくなんでこんなことに気を使わなくちゃいけないのだろう。嫌になる。



2003/05/10
前の入院から一緒だった人が退院した。うらやましい。私も早く帰りたい。
先生と面接して眠剤強くしてもらうことにした。眠れない。足の麻痺した部分の回りの筋肉がじんじんして痛い。それで寝付けないのもあるけど、同室の人の性質のせいでもある。同室の女の子が落ち着かない人で、夜遅くまで部屋を出たり入ったりせわしない。朝も早くて5時くらいからウロウロしている。もう一人のおばさんはいびきが激しい。これからもやっていけるか、とても不安だ。
とにかく早く帰りたい。



2003/05/09
今日は早速、前の入院のときの友達が通院のついでに寄ってくれた。久しぶりに会って一時間くらい喋ってた。とても嬉しかった。
まだ二日目だけど、もう声をかけあう人も出来て入院生活は順調なようだ。今回はおとなしく過ごそうと思ってたけど、やはり知り合いくらいは出来る。前の入院は楽しかったな。今から思い返しても。



2003/05/08
入院初日。
前の入院から約四か月。もう知り合いはいないだろうと思いきや、まだまだいた。ちょっと安心。みんなには出戻りしてきてビックリされた。見た目には穏やかに見えるらしいので、そんなに悪いように見えないのだろう。
最初、個室に入れられたが料金が払えないので大部屋に移して欲しいと頼んでおくと数時間後には大部屋に変えてくれた。よかったことだ。
病棟内を歩きまわって麻痺した足で歩く練習をする。先生の話では1、2か月で治ると言っていた。ホントかな。とにかく痺れて寝てもすぐ目が覚めてしまう。困ったことだ。



2003/05/07
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