《アメリカ映画〜ハリウッド系〜》
「スリーピー・ホロウ」
2000/米/監督:ティム・バートン/主演:ジョニー・デップ
18世紀末のNY。警察官のイカボットは正義感に燃えて、封建的な警察内部を変えて
科学捜査を取り入れるべきだと訴えていた。彼をけむたがった市長は彼を田舎に
飛ばしてしまう。その村では、不可解な連続殺人が起こっていた。
黒い馬に乗った首無しの騎士が現れ、人々の首を切っては持ち去ってしまうのだ。
閉鎖的な村に乗り込んだイカボットは、空回りしながらも幽霊を追いかける。
とってもティム・バートン。怪奇童話的ホラーファンタジー。こういうの好き。
セットが超作りもんでリアル感ナシでかわいい。人々は妙に顔が白くてコワイ。
子供を脅かすように出てくる化け物類は不気味に愛らしい。
他の作品に出る時は退屈きわまりないジョニー・デップもティム・バートンものは
面白くなるから不思議。でも、クリスティーナ・リッチと恋に落ちるのはちょっと。
年齢差ありすぎ。アメリカンホラー版安達祐美だもんねえ。
「エリン・ブロコビッチ」
2000/米/主演:ジュリア・ロバーツ
三人の子持ちで学歴も無い女が法律事務所で成功する話。実話。
・・・ストーリーが一行で終わった。
ジュリアはかわいいよねえ。子供を抱えて、ぴっちぴちのセクシーな服を着て、
ボスに怒鳴る彼女がサイコー。
一応、見たので書いてみた。
「レオン」
1994/米/監督:リュック・ベッソン/主演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン
規則正しい生活を送る殺し屋レオン。彼の友人は観葉植物のみ。
ふとしたタイミングで同じアパートの13歳の少女マチルダと知り合い、
彼女の家族が殺された時に立ち会ってしまう。
マチルダは復讐を胸に秘め、殺し屋の極意を教えてくれるように頼む。
レオンはあまりにも孤独に慣れてしまっていて、マチルダとの奇妙な同棲生活に戸惑う。
だが、知らず知らずのうちに彼にとってかけがえのない存在になってしまう。
それが命取りになると判っていても。
マチルダは家族を殺した奴等を突き止め、単身乗り込む。しかし、簡単に殺意を見抜かれる。
それを察したレオンは救出に向かう。そして、二人の最後の闘いが始まる。
完全版好きのフランス人。「レオン」も出ているが、最初のバージョンの方が評判はいいようだ。
レオンの完璧な仕事振りと、生活面での不器用さをジャン・レノがよく表現している。
字が読めないことをマチルダに告白する時の表情が絶品。
ナタリー・ポートマンの鮮烈な鋭い目付き、無防備な子供らしい体が初々しい。
この作品の後に、何本か映画出演をしているが輝きが薄れていくのがわかる。
しかし、ゲイリー・オールドマンはコワイ。しかも、やりすぎ。
この映画のすぐ後に「ベートーベン〜不滅の恋〜」が公開されたのにはワロタ。
個人的には「蜘蛛女」で見せたダメ男ぶりが好きなんだけど。
物語の核。レオンの孤独。マチルダの孤独。
胸の中が空っぽの人間が、ある日突然愛を知ったらどうなるのだろう。
異物感に戸惑い、それでもその暖かさに甘えて、二度と手放したくないと思うだろう。
そのためになら何でもすると思うだろう。
二人には二人の世界しかなかったのだ。お互いの存在を脅かす者だとわかっていても
そこから出ることは出来なかったのだ。
レオンはマチルダを守ると決めたが、マチルダもレオンを守りたかった。
もし、あの時光に向かって歩き出せていたら・・・
二人はどんな未来を獲得出来たのであろうか。
「トゥルー・ロマンス」
1993/米/監督:トニー・スコット/主演:クリスチャン・スレーター
孤独な青年クラレンスと何をやってもうまく行かない売春婦のアラバマ。
二人は出会い、次の日結婚!アラバマの雇い主に話をつけに行くクラレンス。
しかし、話すどころか殺してしまい、あげくにアラバマの荷物と間違えて
トランクいっぱいの麻薬を持ってきてしまう。
二人は売りさばこうと思い立ち、ロスへと向かう。かかるマフィアの追手。
芸能界の大物に売ることが決まるが、警察はかぎつけていた。
マフィアと警察に追われて、二人は逃げ切って夢を手に入れることが出来るのか。
ぴゃんの大好きなバイオレンス・ラブ・アクション。
突然の恋、犯罪、銃をぶっぱなし、簡単に人が死に、でも大切なものは守る。
単純で自分勝手なストーリー。いいぞ!
脚本は売れる前のクエンティン・タランティーノ。
彼の脚本は、他の自分の物語とリンクさせる遊びが入ってるらしい。
アラバマは「レザボア・ドッグス」のMr.ホワイトの昔の相棒。
でも、友達にこの映画見せたら、終わったときに「だから?」という顔をされたわ・・・
「薔薇の名前」からのスレーターファンのぴゃんでないと面白くないのかも(T-T)
遊び心満載で、チョイ役でも大物俳優がガンガン出てる。
うああああクリストファー・ウォーケンがあああ!最近見ないけど、何してらっしゃるのかしら?
ぎょえええゲイリー・オールドマンまたお前かあああ!出過ぎじゃああああ
友達に唯一受けたのが、ジャンキーで呂律のまわってないブラッド・ピット。
「告発」
1994/米/監督:マーク・ロッコ/主演:クリスチャン・スレーター
サンフランシスコ、アルカトラズ刑務所の実話。
1963年、刑務所内で殺人を犯したヘンリー。その弁護にあたることになるジェームズ。
全く心を開かず、子供じみた行動を繰り返すヘンリーだったが
その裏に恐るべき真実があった。
彼は幼い妹のために5ドルを盗み、なぜか凶悪犯の集まるアルカトラズに送られてしまう。
刑務所の中に法律は無く、いわれない拷問を受け、光のささない地下牢に
3年間も閉じ込められる。
ジェームズは正義をつらぬけるのか。ヘンリーの本心を明かさない本当の理由とは?
アルカトラズ刑務所完全閉鎖の理由の一つに上げられる”ヘンリー・ヤング事件”の真実。
「涙を流す前に拍手を送って下さい」というキャッチフレーズのこの映画。
ジェームズの真実を追究する姿勢や、ヘンリーの勇気に拍手したいが・・・
でも、結局ヘンリーは・・・悲しい。
ヘンリーの「友達が欲しい」という無邪気な言葉に、苦しみしかなかった人生が見えて
涙が止まらない思いがする。ケビン・ベーコン見直しました。(←カッコよくない二枚目俳優)
私生活はめちゃくちゃらしいクリスチャン・スレーターの誠実ぶりも感動するわあ。
法廷ものって誰でもカッコ良く見える。だから好き。
しかし・・・ゲイリー・オールドマン!またお前かあああああ出過ぎいいいいい。
しかも、役作りで激太りしてて最初気付かなかった。コワイわあ。
残忍で冷たい目をさせたら世界一かも知れない。アンソニー・ホプキンスよりもスゴイ。
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」
1994/米/監督:オリバー・ストーン/主演:ウッディ・ハレルソン
ミッキー&マロリー。それは連続大量殺人鬼カップル。
性的虐待を続ける父親。見て見ぬフリの母親。マロリーの両親を殺して二人の旅は始まる。
老若男女、善人悪人、警察官、誰彼構わず殺し、何かを表現しようとする二人。
マスコミは騒ぎ、若者にもてはやされ、さらに調子に乗って殺しまくるミッキー&マロリー。
しかし、ネイティブ・アメリカンの親子に出会い、何かが変わり始める。
やがて逮捕されるが、世間の熱は冷めない。
若者のヒーローとなったミッキーに、刑務所内でのインタビューを生放送することになる。
異常性格の刑務所所長、マスコミの毒に侵されきったアンカーマンを巻き込み、
ダークヒーローの演説から史上最悪の刑務所大暴動に発展してゆく。
賛否両論・・・・というか酷評されまくったこの映画。ぴゃんは大好きです。
脚本はまたもや、売れる前のクエンティン・タランティーノだったが、
監督のオリバー・ストーンが大幅に書き直しをしたため、激怒して「脚本」から「原作」に
クレジットを代えるように要求したといういわくつき。その後のハリウッドの寵児となった、
タランティーノならば監督差し替えをしたかもね。
殺す!殺す!何百人もの人間が死ぬ。それに何の意味があるのか、なんて考えちゃいけない。
べたべたのネイティブ・アメリカンに出会って変わる話とか、戯画化しすぎのマスコミ批判とか
ただの殺人鬼だった男がいきなり「殺人論」をぶちかますとか、
なんじゃ、そりゃ?的なコマイことは言いっこ無し。
それを無視してあまりある斬新な(それもある意味べたなんだが)映像。
全力疾走のスピード感。鮮烈な色彩感覚。衝撃的暴力の嵐。
なにより、マロリー役のジュリエット・ルイスの素晴らしさ!
キレた女の役なら右に出るものナシ。いいのか悪いのか判らないファッションセンスといい、
舌足らずな口調、しなやかな体の動き。最高にイイです。
豊川悦司氏的ナチュラルライフ派のブラッド・ピット様には合わない彼女だったでしょうね。
ミッキー役のウッディ・ハレルソンは出世作になったようだ。
彼の父親が本当に殺人を犯し服役中、というのも話題になっていた。
その後、主演作が続いたようだけど、今は何をしてるのか?見かけません。残念なり。
「レザボア・ドッグス」
1993/米/監督:クエンティン・タランティーノ/主演:ハーヴェイ・カイテル
でかいヤマを踏むために集められたプロフェッショナル6人。
用心の為に本名を名乗らず、色のコードネームで呼び合う泥棒のプロ集団。
ボス・ジョーの指示の元、仕事は完璧なはずだった。
しかし、警官隊に待ち伏せをされ、傷つきながらも何とか逃げ延びる。
何人かは死んでしまったか、捕まったようだ。
ランデブーポイントに戻ってきたのは、Mr.ホワイト、オレンジ、ブロンド、ピンク、
まとめ役のジョーの息子、ナイスガイ・エディだった。
オレンジは瀕死の重傷を負い、今すぐにでも病院に連れて行かなくては死んでしまう。
だが、この中に裏切り者がいるはずだ。
5人の男達が疑心暗鬼の激しい闘いが始まる。
何の予備知識もなく、ふらりと立ち寄った映画館でこれを見た。
何か面白いことが始まる予感がする、という感想だった。
男達の無意味な会話、映像には無い宝石店襲撃、6人が集まった経緯、
感情の揺れ動き、残酷さに対する反応、寄せ集めのエピソードが個性的に主張しあい、
わけのわからないうちに一つの結末に向かって行く。
まるで現実のように、すべてが終わった後、ああそうかと思えてくる。
マイナー映画出演好きのハーヴェイ・カイテル(ホワイト)がプロデューサーも兼ねている。
まあ、この個性的すぎる俳優陣はどうよ?
ティム・ロス(オレンジ)は、この頃は全くメジャーじゃなかったし、スティーブ・ブシェミ(ピンク)も
知られてない怪俳優だった。(CMの「プロバイダ・ゼロ!」の人ね)
なにげにタランティーノも出てるし。クリス・ペン(ナイスガイ・エディ)はショーン・ペンの
兄貴だし。(弟だっけか?)マイケル・マドセン(ブロンド)はエルビスそっくりだし。
Mr.ブロンドがラジオの音楽に合わせて警官に拷問するシーンは秀逸。
ラストの銃撃シーンは賛否両論有りのようだが、ばかばかしくって好きだな。
この映画のサントラもDJがラジオ番組やってる風になってて面白い。
「パルプ・フィクション」
1994/米/監督:クエンティン・タランティーノ/主演:ジョン・トラボルタ
ヨーロッパから戻ったばかりのちんぴらマフィア、神の啓示を感じたその相棒、
美しくエキセントリックなボスの妻、おちぶれたプロボクサー、変態に囚われたボス、
頭いっちゃってるぎみのバカップル。
あらゆる変な人々が出て来て、変な運命を辿るはめになる。
ああううう。ストーリーの説明の仕様が無いっす。
エピソードもばらばらだし、時間もあっちこっち飛び回るし、人間関係はリンクしまくってるし。
筋道立てて説明しちゃうと、この映画の魅力台無しだしね。
タランティーノの監督二作目。カンヌグランプリ。
面白い!と言えば面白い。わけわからん、と言ってしまえば・・・頭悪い。
またもや、出演陣は豪華メンバー。ブルース・ウィリスにユマ・サーマン。
サミュエル・L・ジャクソンにロザンナ・アークェット、クリストファー・ウォーケン。
もちろん、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス。ジョン・トラボルタは若い頃アイドル俳優で
落ちぶれていたが、これにより完全復活。今は売れまくり。良かったね。
一作目で面白くなりそうな予感がしてたのに、この後パッタリ・・・(「フォールームス」は無視)
映画界にも一発屋っているのね。プロデュースなどはしてるよう。もっと面白いことしてよお!
「デスぺラード」
1995/米/監督:ロバート・ロドリゲス/主演:アントニオ・バンデラス
漂泊のマリアッチが街に来る。彼は復讐の為にやってきた。
殺された恋人の仇を討つため、単身街に乗り込んで敵の居場所を探す。
しかし、銃撃戦で傷を負ってしまう。助けてくれた女は敵のマフィアの情婦だった。
二人は愛し合い、闘いに臨む。
監督ロバート・ロドリゲスのインディーズ時代の(そういうのか?)「エル・マリアッチ」の続編。
ストーリーはいたって単純。だからこそ、面白い。
キャッチフレーズは「10秒に1人を葬る復讐のショータイム」だって。カッコイ。
とにかく、銃を撃つ撃つ。死ぬ死ぬ。見てすかっとするとはこのことだね。
バンデラス、セクシー!相手役サルマ・ハエック美しー!スティーブ・ブシェミ、不気味!
タランティーノ、なぜそこにいる?(友情出演かよ!出たがりねー)
かなり笑えるし、アクション満載。エンターテイメントだね。愛があり、友情があり、葛藤がある。
でも、それだけ。残らない。いいじゃないか。楽しむってそういうことでしょ。
「二十日鼠と人間」
1992/米/監督:ゲイリー・シニーズ/主演:ゲイリー・シニーズ
ジョン・スタインベック原作。
幼児の知能しか持たない大男のレニー。彼の面倒を見ながら生活をするジョージ。
二人は農場を渡り歩きながら生きていた。レニーが問題を起こすたびに逃げ惑いながら。
タイラー牧場に腰を落ち着けた二人だったが、牧場主の息子に目をつけられて
何かとぶつかるようになる。レニーは得意の怪力で仕事をこなし、ジョージは彼をかばうように
しながら、何とか牧場にとけこんでいった。
しかし、またしてもレニーの無垢な心と狂暴な本能とが二人の運命を暗転させていく。
ラストシーンが消えてエンドロールが流れ出す。しかし、金曜日の夕方で、満席の客は
1人も立ち上がらなかった。最後に劇場が明るくなるまで。そんな映画は初めてだった。
なんとも悲しくて遣り切れなくて運命を呪いたくなる。レニーを思うジョージの心は本物で
他にどうしようがあったと言うのだろう。ジョージがいなければ、何も出来なかったレニー。
しかし本当はジョージこそが、レニーを必要としていた。人生の深い孤独を癒してくれる、
純粋な存在。守り守られるお互いの関係。ぎすぎすしたこの世界を生きて行くのに、
必要不可欠な人間だったのだ。今までも、いろんなものを失ってきたはずのジョージは
この先の人生をどうやって、その深く暗い喪失感と共に生きていくのだろう。
ラストシーンのゲイリー・シニーズの表情が今でも忘れられない。
「フルメタル・ジャケット」
1987/米/監督:スタンリー・キューブリック/主演:マシュー・モディン
ベトナム戦争たけなわの時代。米軍最強の海兵隊に入隊したジョーカー。
8週間の地獄の新兵軍隊教育が始まる。徹底して人間性を排除し、自己をなくして
敵を殺すことのみ叩き込まれる。教官の人間の頭で考えられたとは思えない罵詈雑言、
体力の限界を遥かに超えた訓練、守るのが至極困難で罰を与えるためだけのような規律。
落ちこぼれは死ねとばかりな状況の中で、友情が生まれ、暗にいじめが横行する。
ジョーカーは生き抜く術と自己の殺し方を学んでいくが、精神に異常をきたす者もいた。
卒業後、ジョーカーは報道隊員として、戦地に赴く。前線の取材で新兵訓練で苦楽を共にした
仲間と再会。ジョーカーも一緒に闘うことを選ぶ。日に日に酷くなる戦争。
しかし、皆、感覚は麻痺して殺すことにも戦争自体にも何も感じなくなっていく。
誰でも死ぬ。簡単に死ぬ。苦しみ抜いて死ぬ。「敵」は殺さなければならぬ。
しかし、「敵」は「人間」だということを思い出す者はいない。
人間の狂気を描いた衝撃の戦争映画。
ベトナム戦争映画は数多くあるが、ジャングルを使わずにここまで描いているのはスゴイ。
ハリウッド映画を見ていると、人を殺すことが何でもなく思えることがあるが、
この映画のラストシーンを見ると、はっとさせられる。
正に地獄のような訓練を受け、「人間」という概念を捨てさせられ、目の前で何百人もの人が
死んでいく。そこには法律などなく、何をしても何をされても闇に葬られる。
そんな中で自己を保つこと、良心を呼び起こすことなど可能だろうか。
主演マシュー・モディンの大人しそうな優しそうな外見と裏腹の狂気に向かう青い瞳が恐ろしい。
こんな状況でこんなことになったらこう言うだろう、という予測をことごとく裏切られる。
「敵」のベトナム人少女が瀕死の状態で、ジョーカーに「Shoot me・・・Shoot me・・・」と
繰り返し懇願する姿は哀れというより、鳥肌が立つ。敵に囲まれたら、捕まるよりも死を選ぶ。
ほんの少女なのに、それを言わせるような生き方しか出来なかった時代。その場所。国。