《カナダ・オーストラリア映画》
「ダンシング・ヒーロー」
1992/豪/監督:バズ・ラーマン/主演:ポール・マーキュリオ
社交ダンス熱血青春お笑いストーリー。
ダンス協会の規定を無視して新しいダンスを目指す青年の
恋と笑いとダンスへの情熱の物語。
ディカプリオ主演の「ロミ・ジュリ」の監督、と言えばわかるでしょう。
2001年12月現在公開中の「ムーラン・ルージュ」の監督。
さすが、オーストラリア!
明るく楽しく派手でやりすぎ。面白い。
主人公の青年役が典型的なお坊ちゃんの美青年。彼が真面目にダンスを踊って
周りがはずしまくる、という感じ。
汗を振り乱し、激しいターンをして目にも止まらぬステップを踏み、会場中を駆け巡って
ど派手な社交ダンスを踊りまくる。どぎつい衣装と化粧はお約束。
「ピアノ・レッスン」
1993/豪/監督:ジェーン・カンピオン/主演:ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル
19世紀半ば。口の聞けないエイダと娘のフロラは小さいボートでしか行けない
未開の地で働く金持ちの男の家に嫁ぐことになった。
ピアノでしか自分の気持ちを伝える術を持たないエイダ。それを唯一理解するフロラ。
しかし、その地は道もろくになく、大きく重いピアノを屋敷まで運べずに
海辺に置き去りにされてしまう。ピアノもなく、夫にも打ち解けないエイダ。
夫はピアノを土地の男に売ってしまう。
男はレッスンをしてくれれば、ピアノを返すとエイダに約束する。
夫に内緒で男の家に通うエイダ。いつしかピアノを通して言葉を交わし、
愛し合う二人。そして、悲劇は起こる。
女性監督の感性炸裂。
海辺に置き去られたピアノ。それを弾くエイダ。踊る幼い少女フロラ。
こんな美しいシーンは他に類を見ない。
ホリー・ハンターとハーヴェイ・カイテルの大人の性愛はどうかと思ったが
(だって、ハーヴェイの全裸シーンが!)
二人の愛のあり方は切なく熱い情念がうずまき、圧巻のエロティシズム。
夫のサム・二ール(ジュラシック・パークの人ね)にばれて、怒り狂った夫が
二度とピアノを弾けないようにエイダの手を切り落としてしまう。
彼女は2、3歩、踏み出し崩れ落ちる。それは体の激痛で、というよりも
ピアノという彼女の「言葉」と生涯の恋を永遠に失ったからのように見える。
エイダとフロラは実家に戻されることになるが、道中、ピアノが重すぎて
船が転覆する危険があるので下ろさなければならなくなる。
仕方なく同意するエイダ。
海の中に落とされるピアノ。括り付けていた縄が海中へと飲み込まれていく。
突然、エイダは縄に足を絡ませてピアノと共に海の底へと
引きずり込まれ、沈んでいく。
彼女はどこまでもピアノと運命を共にするのだろうか。
娘のフロラを一人置き去りにしてでも、愛に殉教するのか。