《フランス映画》
「薔薇の名前」
1986/仏、西独、伊/監督:ジャン・ジャック・アノー/主演:ショーン・コネリー
イタリアの作家であり記号学者のウンベルト・エーコの原作。
1327年、ヨーロッパには異端審問の嵐が吹き荒れていた。
北イタリアの大教会に修道士ウィリアムと見習の少年がやってくる。
平穏で静謐なはずの修道院で奇妙な連続殺人事件が起こる。
みな何かの暗喩のように不可解な死に方をするのだ。
ウィリアムは事件の解明に乗り出すが、そこへ異端審問官がやってくる。
ぴゃんの大好きなショーン・コネリーが主演で、若き日のクリスチャン・スレーターが
見習の少年役なのだ。全編、暗く寒く異様な雰囲気の修道院が舞台で
神秘的なうえに危なく血腥く、油断すると何か異常なことが起こる。
原作者ウンベルト・エーコお得意の知の迷宮が惜しみなく展開される。
謎解きの図書室のシーンでは人間の脳の中を彷徨っているよう。
なにげに、見習の少年の動物的初恋も胸が痛むものがある。
「愛人/ラ・マン」
1992/仏、英/監督:ジャン・ジャック・アノー/主演:ジェーン・マーチ、レオン・カーファイ
フランス人作家マルグリット・デュラスの自伝的小説が原作。
1920年代の仏領インドシナ。金持ちの中国人と貧乏なフランス人少女の
情熱的な悲しい性愛を描く。
美しいわああああ。
原作のマルグリット・デュラスの作品はこの時期とてもはまりましたが、
これが一番いいです。多分、原書で読めたら違うだろうが、
他のはちとスカスカな感のあるラブストーリー多し。
インドシナの風景が郷愁的で、その熱い風が頬にあたるような画だ。
色の入れ方のコントラストは鮮烈。
ジェーン・マーチの幼い流し目が女の本能を思わせる。
有名な、白い服を着て船の甲板でふと振り返るシーンは必見の美しさ。