9/27/2002/fri
明日から入院だ。
気は重いが、午後になると何もしたくなくなるので午前中に荷物をまとめた。
それだけで疲れきってしまったので、部屋で倒れこんでいたら眠ってしまった。
爆睡中に電話がなっていたが、金縛りで動けなかったので無視した。
しばらくすると、また電話が鳴り続けた。
今度は起き上がれて電話に出ると、都内で一人暮らししてる幼馴染だった。
しかも、うちのドアの前にいると言う。
入院になって落ち込んでる私にわざわざ会いにきてくれたのだった。
私は幸せ者だ。
独りなんかじゃない。
どうあがいたって私の苦しみは消えたりしないが、もがく私をつかまえようとしてくれる人がいるんだ。
入院なんかしても何も変わりゃしない。
でも、仕方ないじゃないか。
このまま家に閉じこもっていれば、心臓をえぐりだしたいほどの衝動を感じる。
ドアを開けて、マンションから飛び降りて脳漿を飛び散らせてしまいたい衝動に頭が割られそうになる。
なんとか自分を押さえ込むために睡眠薬を飲む。
自分を殺す衝動をごまかすために腕を切る。
生きるんだ。
生きるんだ。
もう誰も裏切ってはいけない。
9/26/2002/thu
今日は母の友人に紹介された精神科のクリニックに行くことになっていた。
いつもの病院には内緒で。
今の病院ではなんとなく合ってない気がしていたので、先週くらいに予約を入れといたのだ。
もう入院は決まってしまったけど、違う先生に会ってみるのもいいから、と母もすすめた。
しかし、私は直前になって行かなかった。
午後の予約だったので、母が仕事を切り上げて連れて行くと言ってくれたが、
そこまで迷惑かけるわけにいかないので、一人で行くと言ったのに。
でも、だるくて頭痛がして立ち上がる気力がなかった。
それに、今更何を話せばいいんだ?
薬が欲しいわけじゃない。前向きに生きろと言われたいわけじゃない。
何も意味なんかない。無駄だ。もう誰とも話したくない。
頭が混乱してきたので、隠し持っている眠剤を多めに飲んで寝逃げしてしまった。
帰ってきた母は医者に行かなかった私を叱った。
こんなに、みんながあんたを助けようとしてるのに何で無駄だって決め付けるの?
そう言って悲しい顔をした。
私も悲しい。
無気力で虚弱で生きる気力の無い私が。
私の何倍もつらいはずの母が私なんかを気遣ってくれるのが。
幼馴染からメッセージが来ていた。
「deeの行きたいところならどこでも連れてってあげる。
倒れたら壁になってあげる。
紅葉を見に行こう。」
涙が溢れてしかたなかった。
死んだらイカン。
これ以上、誰も傷つけてはいけない。
9/25/2002/wed
土曜日から入院することになってしまった。やはり。
顔色は悪いし、先生の前で情緒不安定爆発してしまったので、その場で点滴の刑になった。
なんの点滴かわからないけど、途中でものすごい気分悪くなったので、途中でやめてもらったが、
まだくらくらする。
あああ。私はやはりまだ死にたい。
もうこんな目に会いたくない。
苦しみたくない。生きている罪悪感を感じたくない。
私だって、笑いたいのに。
9/23/2002/mon
今日は幼馴染が私を外に連れ出してくれた。
最初はお弁当を持って「秋の味覚ピクニック」の予定だったが、
東京は雨になるという予報だったので、急遽、新宿で映画を見ることになった。
でも、曇りのち晴れのち曇り、というとこだったけど。
休日の新宿は人でごったがえしていた。
映画館にたどりつくまでにすでに体力の限界だった私。
しかも、めちゃ混み。メル・ギブソンの「サイン」。(すんごいつまんなかった・・・。)
何年かぶりに映画見るのに並んでしまった。
いつもは空いた頃にがらすきの映画館で見る。
映画を見てる間から、もう体がきつかったけど、がまんして見てた。
終わって、私は喫煙所で煙草を吸っていて、友人二人はトイレに行った。
火をつけて、一口吸った途端、「あ、やばいかも」とは思った。
どんどん血の気が引いて、周りの風景が遠くなるのを感じた。
指が震えて、紙のように真っ白になっているのが見えた。煙草を灰皿に捨てた。
座り込んで、「自分」が現実に戻ってくるのを待ったが、そのままぶっ倒れてしまった。
大混雑の映画館。
遠くに「大丈夫ですか!」という声が聞えたが、口はきけないし、動けなかった。
体中が痙攣を起こすように震えていたのがわかった。
映画館の従業員の人が救急車を呼ぼうかと言ってるのが聞えた。
わあ、それはやめてくれえとおもっていたところに、友人が戻ってきてくれた。
周りは黒山の人だかりだったようだ。
やっとなんとか、支えられつつ椅子に横になった。
次の上映がはじまり、周りに誰もいなくなって、ようやく起き上がれた。
また、友人に大迷惑をかけてしまった。
しかも大恥だ。
自分の虚弱さ加減に呆れ果てて、泣きたくなった。
もうどうすれば、元の元気だった私に戻れるのかわからない。
これから生きていくのに、またすっかり自信がなくなってしまった。
一生、病院に閉じ込められてるのがいいのかもしれない。
でも、友人は「来月は紅葉を見に行こうね」と言ってくれた。
また泣きそうになった。今度は有難くって。
明日はまた病院に行く予定だ。
先生はきっと私を閉じ込めるだろう。
私に今年の紅葉を見る機会はきっと無いんだろう。
9/22/2002/sun
部屋に閉じこもって泣いてばかりいる。
無感情で泣くことも笑うことも忘れたと思っていたのに。
入院しなくてはならないということは、自己を立て直す努力をしなければならないこと。
自分と対峙しなくてはならないこと。
自分自身を現実的に見てしまうと、もうどうしようもなく終わってる人間だということが自覚できる。
誰も私を救うことは出来ない。
神を信じることも出来ない。
私自身も、自分を救う気力がない。
昨日、病院で会った前の入院時の友達の女の子が言っていた。
「みんな、幸せそうに見えるのに、どうして自分だけ?っていつも思うの」
そう。私もそう思っていたのだ。
どうして私だけがこんな苦しい思いに取り付かれてしまってるんだろうと。
独りじゃない。独りじゃない。
そう言い聞かせても、被害妄想は暴走するばかり。
私は恵まれているのだ。
許してくれる家族がいる。
気遣ってくれる友人がいる。
おかえり、と言ってくれる人達がここにいる。
独りじゃない。独りじゃない。
9/21/2002
やっとこの空間を復活させる決心がついた。
ずっと迷ってた。
ここを見てくれてた人達に、deeは死んだんだ、と思ってもらってるほうがいいのかも知れないと思ったから。
それは卑怯だし、嘘吐きだし、傷つけた人に対して失礼すぎる。
でも、言葉が出なかった。
何と言えばいいのかわからなかった。
どんなに蔑まれようと、謝らなければならない。
ごめんなさい。
もうここにはこないだろうけど。
私は傷つけた人達のことを忘れてはいけない。
ごめんなさい。
謝ってすむことじゃないけど。
ごめんなさい。
退院してこの何週間も、ほとんど外に出ず、ほとんど何も考えなかった。
悪い考えや、また自分を傷つける考えや、償わなければならない罪の事。
そんなことを真剣に考え出すと、きっと窓から飛び降りる。気が狂う。
だから、ひたすら本と漫画を読んでいた。
何も考えずにただ楽しい冒険の世界に連れて行ってくれるものだけ。
必要以外は口もきけなかった。
そんな私を見かねて、母は今日無理やり精神病院に連れて行った。
何も話すことなんか無い。
何も考えたく無いんだ。
何も見たく無いんだ。
でも、先生は即入院を言い渡した。
だが、今はベッドの空きが無いから来週また来て、と言った。
私は言い返す言葉も無く、ただ部屋を出て行った。
母がドアの前で待っていた。
何だって?と聞いた。
入院しなさいって。と答えた。
と、突然にこのところ無感情に浸りきっていた私は大声で泣いてしまった。
「そんなこと無駄だ。もうあたしは駄目なんだ。何をしても変わらない。治らない。無駄だ無駄だああ」
子供の頃以来、初めて母の前で泣いた。
看護婦さんやらが寄ってきてくれたが、先生はすでに他の用事で部屋にいなかった。
母は、ただ「諦めないで。駄目だと決め付けないで。治る。きっと治る。」と言い続けた。
ねえ、でも入院して何になると言うの?
精神が治るなんてどうやってわかるの?
一生薬を飲んでればいいの?
どうしたら笑えるようになるの?
どう努力すればいいの?
今はお彼岸。
病院に行く途中に霊園を通る。
お墓に入ってお花を供えられてる人が羨ましかった。
不謹慎でごめんなさい。
いっそ、脳手術をして別人になりたい。